Wait


                             今日はアンジールが1stのみの会議に出席している為、ザックスは得意のスクワットで会議が終わるのを今か今かと待っていた。
           
             「よう、ザックス。
              今日も張り切ってるな」
 
             微笑みながらソルジャー仲間のカンセルが声をかけ、ザックスに近づいてきた。


             「動いてないと暇すぎてさー」

             カンセルに向けて生き生きとした笑みを向けながらも、身体はスクワットするのを休めずに答える。


             「本当にザックスはいつ見ても元気だな。で、こんなところで何してんだ?
              確か今日はアンジールと一緒に訓練だったよな?」

             「それが、アンジールの奴緊急会議だとか言って連れて行かれちまって…。会議が終わるの待ってんだよ。
              折角アンジールと訓練するところだったのによー」
             

             ふーん、とザックスの上下する頭を見ながら聞いていたカンセルだったが飼い主に置いて行かれた犬の様に、拗ねて口を尖らす
             ザックスのあまりの忠犬っぷりに、つい口元が緩んでしまう。
             そんなに不貞腐れるまで待つより、一人で訓練したり、相手が欲しければ他の者を誘えばいいのに、とカンセルは思い、自分が
             相手をしてやろうと、口を開けた時ザックスの顔を見て、一度口を閉じ再度話し出した。
             
             
             「…お前本っっっ当にアンジールの事好きなんだな」

             何に対して忙しない、大人しく待つのが嫌いなザックスが嫌々ながらもアンジールを待っているということはそういうことなんだろう
             と、僅かにちりちりと焦げた痛みが胸に走ったが、それを誤魔化す様に、からかいを含んだ口調でザックスに笑いかける

             
             「ばっ、馬鹿!別に好きとかそういうことじゃないだろ、俺はただ約束がっ!!」

             真っ赤になり食って掛かるように否定しているザックスが面白くて、それを見ていると先程の痛みも何処かに飛んでしまい、素直な
             ザックスの反応を見たくてもっとからかいたくなる。
             
             「じゃあザックスはアンジールのこと嫌いなのか?」

             ニヤニヤと人の悪い笑みでザックスに詰め寄ると、ザックスは怒って声を上げた。
             「アンジールのこと嫌いな訳ないだろ!
              大体、俺はアンジールが好きだから一緒に居るわけで、嫌いだったら一緒に居ないしそれに「ザックス、煩いぞ」
          
             カンセルの言葉に激しくヒートアップしていたザックスと、それを見ていカンセルは気付かなかったが、二人の前方には、ザックスが
             待ちわびていたアンジールが姿を現していた。
   
             「アンジール!遅かったじゃん」


             カンセルとの事など忘れて、待ちに待った飼い主の元へと嬉しそうに満面の笑顔で走り出す子犬を、カンセルは何処か諦めの色を
             映した優しげな眼差しでザックスの背中を一度見ると、踵を返してザックスとは反対側に歩み出す。



                                   


               カンセルごめん!
               最初はザックスをからかうカンセルを書きたかったんですが、気が付いたらアンザク←カンセルに…。
               しかもアンジール一言だけとか、アンザクって言えるのか。
               精進します、ここまで読んで頂いてありがとうございます。